新興のベビーブーマー富裕層をターゲットとする金融サービスとウェブサービス
2005/06/23
クレイグ・ウェバー
Abstract
ベビーブーマー世代は金融機関にとって有望な潜在顧客層です。しかし、セレントがこの世代を対象に行なった最近の調査では、金融機関がこの世代の資産運用計画に及ぼす影響は極めて小さいことがわかりました。
「この結果は、明らかに金融機関に警鐘を鳴らすものです。」とセレントのシニアアナリストで最新レポート「新興のベビーブーマー富裕層をターゲットとする金融サービスとウェブサービス」を執筆したクレイグ・ウェーバーは述べています。「存在感を増しつつあるベビーブーマー富裕層は、今後数十年にわたる金融機関のプライムターゲットです。彼らの資産運用における意思決定に金融機関が全く関与できないとすれば、金融商品のコモディティ化という現在のトレンドが今後も続くことになるでしょう。」
ウェーバーはさらに憂慮すべき点として、消費者の大半が資産運用の情報源として自らのリサーチ結果を最も重視していることを挙げています。「資産運用に精通している消費者の場合はそれでも問題はありませんが、そうではない数百万人のベビーブーマーは、定年退職後の生活に影響を及ぼしかねない誤った選択をする危険にさらされています。」
今回のレポート(全36ページ)は2005年3月にベビーブーマー富裕層467人を対象に行なった調査結果をまとめたもので、彼らの金融商品の購入状況、金融サービスプロバイダーのウェブサイトに対する評価、退職後の資産計画などを詳しく分析しています。
主な論点は以下のとおりです。
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ベビーブーマーによる金融商品の利用方法は、現在、商品によってどの程度違いがあるのか。また、今後の利用計画は市場の成長性を占う手がかりとなるのか。
調査結果を見る限り、保険会社や証券会社が提供する商品よりも銀行の商品の方が広く利用されていることがわかります。ただし、回答者の約20%はこれまで購入したことのない商品を今後購入する計画があるとしており、このグループの市場としての有望性が改めて確認されました。特に、長期介護保険に関心を示す人が増えています。
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従来の対面販売に対する代替販売手段はどの程度利用されているのか。
ウェブを単独チャネルとして利用する動きはいまだ本格化していませんが、ベビーブーマーの多くは、商品を調べたり購入を検討する際に他の方法と併せてウェブを活用しています。
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銀行ウェブサイトの顧客満足度は比較的高く、よく利用されているが、このことは銀行のクロスセリングや保険会社・証券会社に対する優位性にどの程度貢献しているか。
ベビーブーマー世代は、一部には日常の銀行取引を頻繁に行なう必要があることもあって、銀行のウェブサイトを定期的に幅広く利用しています。銀行のウェブサイトに対する満足度も保険会社や証券会社のサイトよりもはるかに高く、銀行にとってこうした顧客向けに新たな事業を展開しし易い環境にあると言えるでしょう。
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定年退職後の資金積み立てに有効な金融商品の存在は広く知られるようになったが、社会保障への依存はいまだ強い。
例えば、回答者の45%が退職後の「主な資金源」として社会保障費と答えたのに対し、投資とした回答は24%、保険はわずか7%にとどまっています。