欧州のウェルスマネジメント市場:戦略とIT動向
Abstract
ウェルスマネジメント業界は急速な拡大局面に入っています。世界市場の規模は2008年には前年比11%増の39億米ドル(約3900億円)に達する見通しです。
ウェルスマネジメントには、顧客の資産管理に関する幅広いサービス、つまりプライベート・バンキング、ポートフォリオ管理、アセット・マネジメント、フィナンシャル・プランニングなど様々な種類があります。銀行がサービスの差別化を模索する中で、ウェルスマネジメントサービスは幅広い顧客層に対応する大衆市場向けサービスへとシフトしつつあります。
セレントの最新レポート「欧州のウェルスマネジメント市場:戦略とIT動向」は、欧州ウェルスマネジメント業界のトレンド、主要市場の発展状況、テクノロジー投資、入手可能なアドバイザー・ソリューションについて論じています。
レポートの主な論点は以下の通りです。
・セレントの推計では、欧州におけるウェルスマネジメント関連のIT市場の規模は2008末時点で前年比14%増の17億米ドル(約1700億円)に達するとみられます。
・ 成長市場であるプライベート・バンキングやウェルスマネジメントにおいては、顧客のセグメント化が不可欠となっています。保有資産のレベルのほかにも多様なセグメント化の基準があり、プライベートバンクはそれをもとに顧客グループをセグメント化していきます。こうしたコンセプトをもとにウェルスマネジメントサービスは進化を遂げてきました。
・ウェルスマネジメントの顧客層をターゲットとする金融機関は、サービスの差別化をより効率的にすることで常に価値提案の見直しを行っています。
・ウェルスマネジメント関連システムの柱となるのは、①CRM/コンタクト管理②ファイナンシャル・プランニング③ポートフォリオ管理④ポートフォリオ・モニタリング⑤レポーティング⑥ポートフォリオ構築⑦モデル管理⑧ワークフロー管理⑨コンプライアンス⑩データの集中保管です。本レポートでは、欧州市場に進出している12社のウェルスマネジメントシステムプロバイダーを取り上げ、基本的な情報、ターゲット市場、主力ソリューションを紹介しました。
「欧州のウェルスマネジメント市場は転換期にあり、事業拡大と効率性の向上が競争力維持のための重要な要素となっています。顧客のセグメント化がカギを握っているとはいえ、顧客管理の効率化やオープン・アーキテクチャの構築なども重要な課題です」とセレントのシニアアナリストでレポートを執筆したイザベラ・フォンセカは述べています。
本レポートは、銀行のウェルスマネジメントサービスにおける様々な戦略を分析し、欧州ウェルスマネジメント市場を戦略およびテクノロジー上の観点から理解しようとする金融機関に指針を示しています。
本レポートは9図と8表を含む36ページで構成されています。