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エクイティ・クラウドファンディング:JOBS法3章とマスマーケット層へのディスラプション

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2014/09/14

Abstract


2012年に可決されたJOBS法の第3章はあらゆる種類の投資家セグメントに対してエクイティ・クラウドファンディングを認めたもので、マスマーケットから超富裕層個人に至る幅広い層が出資できる新たな波となる可能性があります。しかし、最終的な規制の策定には至っていないため、ウェルスマネジャーはその影響を予測しかねています。規制案をみる限り、エクイティ・クラウドファンディングは超富裕層やベンチャーキャピタル市場に破壊的な力を持つ影響を及ぼすというより、若年層やマスマーケットの個人に新たな投資機会を与えるものとなるでしょう。

セレントの最新レポート「エクイティ・クラウドファンディング:JOBS法3章とマスマーケット層へのディスラプション」はエクイティ・クラウドファンディングの概要を示し、JOBS法第3章および規制案の内容を詳しく紹介した上で、市場への影響を分析しています。また、過去および現行の規制の内容とそれらが未上場企業の有価証券発行に及ぼす影響、エクイティ・クラウドファンディングのメリットと潜在的リスク、ウェルスマネジャーおよびテクノロジープロバイダーにもたらすビジネスチャンスについて考察しています。

これまで、企業が一般向けに未上場の有価証券(証券取引委員会に正式に登録していない有価証券)を発行する際には、レギュレーションDの適用除外条項に基づいて行ってきました。新たなJOBS法の第2および第3章は、私募証券の発行をめぐるパラダイム変化をもたらすでしょう。第2章は、レギュレーションDに基づいて有価証券を発行する企業による勧誘を禁じる規制を撤廃するものです。第3章は、発行企業があらゆる投資家層から資金調達できることを定めた適用除外条項を盛り込むことで、エクイティ・クラウドファンディングを合法化しています。第2章の規制は最終案が策定され、既に施行されていますが、第3章は最終的に法令化されるまで難航状態にあります。

オンラインプロバイダーの多くは、既に新興企業が未上場有価証券を発行する際の仲介役を担っていますが、これらのプラットフォームがサポートできるのは適格投資家に限られています。第3章は、あらゆる種類の投資家によるクラウドファンディングを合法化している点で重要であり、新たな投資家やマスマーケットが新興企業の新しい資金源となる道を開く可能性があります。さらに、規制案の内容は曖昧であると同時に厳格でもあるため、規制遵守の負担が重くなるとみられます。

エクイティ・クラウドファンディングに関する報道には、両極端に偏る傾向が見受けられます。ベンチャーキャピタルの終焉と投資の民主化を促すものとしてこれを歓迎する論調がある一方、規制が失敗に終わり、知識が不十分な投資家の破産を招きかねないと否定的な見方もあります。実際の影響は軽微なものにとどまると予想されるものの、重要であることは確かでしょう。

さらに、レポートには適格投資家からの資金調達を目指す新興企業の仲介役となっている既存のオンラインプラットフォームのリストを掲載しています。いずれのプラットフォームも、第3章の最終案が施行されればこれを巧く活用するとみられます。また、ウェルスマネジャーとテクノロジープロバイダーのそれぞれのビジネスチャンスを挙げています。最後に、将来におけるクラウドファンディングの重要性とディスラプティブな動きが予想される分野について分析しています。

「規制対応の負担が大きく、資金調達の方法はほかにもあることから、ベンチャーキャピタルの間でディスラプティブな動きが生じる可能性は低いでしょう。むしろ、これまで未開拓だったセグメントにビジネスチャンスが生まれるとみられます」とセレントのウェルスマネジメントグループのリサーチマネジャーでレポートを執筆したイザベラ・フォンセカは述べています。

「テクノロジープロバイダーは、発行企業の記録管理、投資家認証、情報開示などの分野で規制および法令順守関連のワークフローをサポートすることができます。ウェルスマネジャーは資金調達のポータルサイトを開設し、クラウドファンディングの仲介役を目指そうとするかもしれませんが、短期的には、資金調達サイトと提携し、オンライン上でのソーシャルコミュニティ構築、投資家認証のサポート、新興企業向けミューチュアルファンドに似た商品の開発などにビジネスチャンスがあると考えます」とフォンセカは指摘しています。