スワップ執行ファシリティ(SEF)と組織化された取引ファシリティ(OTF):新たな市場構造
A New Market Structure Emerges
Abstract
ドッド・フランク法やMiFID II/MiFIRの施行はスワップ市場の構造の大幅な再構築を促し、将来的にはスワップ執行ファシリティ(SEF)および組織化された取引ファシリティ(OTF)による取引執行という形が定着するでしょう。大部分はいまだ理論の域を出ていませんが、現実化に向けて進展しつつあります。 そこに到達するための道筋はいくつか考えられますが、そのうち1つは特に注目を集めています。
セレントの最新レポート「スワップ執行ファシリティ(SEF)と組織化された取引ファシリティ(OTF):新たな市場構造」は、SEFおよびOTFの今後の方向性とそれを決定付ける要因について注目点を挙げています。これに基づき、市場構造がSEF/OTFの将来像の実現に至る過程として、複数のシナリオを想定しています。ただ、不安定な流動性、業界のフィードバック、規制当局の慎重姿勢などを踏まえると、最も有力なシナリオが最も実現性が高いといえるでしょう。
2012年には市場参加者がSEF/OTFの透明性向上や取引電子化への理解を深めようとするため、ディーラーやユーザーにとってはこれらの市場をめぐる動きに翻弄される年となるでしょう。金融機関は、SEF/OTFは単なる通過点にすぎず、成功を保証するものではないことを認識する必要があります。高い流動性を確保できるSEF/OTFがある一方、そうでないケースも多いとみられるからです。さらに、より広範なスワップ市場の流動性は、最終的に規制がどのように策定、解釈、実施・施行されるかに左右されるとみられます。
「全体として、SEFおよびOTFの導入はスワップ市場における取引の電子化、透明性の向上、競争力の強化を促進するとみられるものの、均一な透明性が維持されるとは限りません。柔軟性の高いルールを定め、スワップ市場の流動性は一部で想像されているほど高くないという事実を踏まえて慎重に取り組まない限り、特に価格発見に支障が生じかねません」と、セレントのキャピタルマーケットグループのリサーチディレクターでレポートを執筆したデビット・イーストホープは述べています。