インドの投資信託業界
Abstract
インドの投資信託業界の運用資産総額は2009年3月時点で1500億米ドル(約14兆円)でしたが、今後5年で年平均27%成長すると見込まれています。家計貯蓄率が高いのにも関わらず、資産運用がまだ浸透していないインドの個人市場は海外のアセットマネジャーの格好のターゲットとなるでしょう。
セレントの最新レポート「インドの投資信託業界」ではインドにおける投資信託市場の概要を示しています。インド市場は寡占が進んでおり、資産運用会社上位7社が市場の70%を占めています。2000年には市場シェアの77%を占めていたUTIグループ(インド最古で最大手の投信会社)および銀行が運用する投資信託は2008年には18%まで減少しましたが、その他の民間ファンドのシェアは2000年から2008年の間に3%から30%へと増加しました。
「UTIおよび銀行が運用する投資信託はシェアを減少させつつあるものの、2級、3級規模都市(大都市を除く地方都市)および農村部においては強力な販売網を確立しています。そしてこの状況は個人投資家をターゲットとする資産運用会社にとって、連携や買収などによる市場参入のまたとないチャンスとなるでしょう」とセレントアナリストで本レポートを共同執筆したアリン・レイは述べています。
出典:セレント
インドでは銀行、代理店および独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)が投信の主な販売チャネルとなっており、各々が全体の30%ずつを占めています。オンライン販売は全体の5-7%を占めています。投資信託をオンラインで直接購入する際の初期手続きの負担を軽減する規制緩和の動き、また、取引における共通オンラインプラットフォームが追い風になって、オンライン販売のシェアは伸びる見込みです。
「販売代理店はこれから、より高度なアドバイザリー能力を求められるようになるでしょう。しかし、販売代理店のトレーニング能力、教育能力には限界があること、また代理店にとって投信よりも保険商品の販売手数料がより高く魅力的なので、この流れは容易には進まないと考えられます」とセレントアナリストで本レポートを共同執筆したスリークリシュナ・サンカーは述べています。
本レポートではインドの投資信託業界の発展、業界のダイナミクスや業績や料金体系、主要な市場参加者のコスト分析、投資家のセグメント特性、販売チャネル、商品トレンド、規制環境について分析しました。また、投信先進国である米国およびシンガポール、また成長中の中国とインドとを比較しています。
本レポートは15図および9表を含む42ページで構成されています。
注)ドルから日本円への換算レートは、2009年7月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。