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ISO20022 — 決済の革命

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2015/04/30

Abstract


ISO20022が決済業界を根本から変えるでしょう。

世の中には、劇的なインパクトによって状況を一変させてしまうことがあります。例えば、インターネットとモバイルテクノロジーの組み合わによって、我々は家や職場に居ながらにして「何でも、どこにいても」手に入れることができるようになりました。そして、そのような出来事は、これまでほとんど変化がなく、将来的にも変化が期待できなかった分野に、最も大きな影響を及ぼします。通信メッセージ標準ISO20022の採用により、決済業界は今まさにそうした状況に直面しています。震源地は欧州ですが、その衝撃波は急拡大しつつあります。問題は、もはやISO20022による影響を受けるかどうかではなく、衝撃がいつ来るかという点に移っています。

本レポートは、ISO20022とは何なのか、その実態を明らかにすることを第1の目的としています。現時点で多くの市場ではISO20022採用の準備がほぼ整っており、その先頭を走っているのはカナダ、これに迫っているのが米国です。2012年の調査では、ISO20022について知っているとした回答はわずか9%にとどまっていました。第2の目的は、ISO20022を採用した銀行が今後直面すると思われる主な課題とビジネスチャンスについてアドバイスすることです。

これまでISO20022の普及範囲は限定的で、これを採用した決済関連のメッセージは100万件単位にとどまっていました。単一ユーロ決済圏(SEPA)の導入に伴い、欧州の全ての国でACH取引を執行する際にはISO20022に基づくメッセージの利用が義務づけられることになります。すなわち、年間数十億単位の取引が対象となります。かつてある軍事戦略家は「No plan survives contact with the enemy」(訳注:敵と直接対峙する期に至っては計画など役に立たない)と言いましたが、まさにそうした事態が起きつつあります。具体的な課題やビジネスチャンスという敵が目前に迫ってきています。

ISO20022はXMLに基づく非常に柔軟性の高いメッセージで、フォーマットに応じて多寡にかかわらず好きなだけ情報を記載することができます。そのため銀行は、将来的に決済メッセージの容量が急増した場合に対応可能なソリューションを選ぶ必要があります。それは決済処理だけの問題ではなく、決済後に行う業務にも関わるものです。最近は銀行が報告目的で決済データにアクセスせざるを得なくなるケースが増えていますが、それにはデータウェアハウスを備えるだけでは不十分で、メッセージに迅速かつ柔軟にアクセスできるよう、銀行がこれらを管理する必要があります。

「銀行は長年にわたり、バンキングにはバンキング向けに開発されたソフトウェアだけが適していると考えてきました。しかし、データをめぐる問題の解決を迫られているのは他の業界も同じです。特に、通信業界は取引量の多さ、多様な価格設定方法、これらの明細を後日請求書に記載する義務など、銀行業界とよく似た課題を抱えています。銀行内の他の分野ではこうした関連性が認識され、最近では通信業界で使われているビリングソリューションを導入する銀行や決済処理業者も増えています。価格最適化ツールに関しても同じです。銀行は大量データを扱う企業のやり方を学び、それを生かすことで、単に業務を執行するだけでなくその改善にもつなげるべきでしょう」とセレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したガレス・ロッジは述べています。

本レポートは22p、2図と2表で構成されています。