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決済サービス指令Ⅱ(PSD2):大変化の兆し

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2016/08/18

Abstract


「欧州の決済業界は今後2年間で永久にその姿を変える可能性がある」と言うと、大げさに聞こえるかもしれません。だが憂慮すべきなのは、その影響の大きさにもかかわらず、多くの銀行がそうした動きについてようやく言及し始めたにすぎないことでしょう。

KEY RESEARCH QUESTIONS

1

PSD2はどのような内容か?

2

PSD2によって修正されるのはどの要素か?
3

XS2Aが極めて重要になるのはなぜか?


「欧州の決済業界は今後2年間で永久にその姿を変える可能性がある」と言うと、大げさに聞こえるかもしれません。だが憂慮すべきなのは、その影響の大きさにもかかわらず、多くの銀行がそうした動きについてようやく言及し始めたにすぎないことでしょう。業界がここ数ヵ月でようやく注意喚起されるに至った背景には、新たな決済サービス指令(PSD2)の施行が正式決定したことがあります。決済業界がなぜ憂慮すべき状況にあるのかを理解するためには、当初のPSDがどのように進化したのか、業界がPSD2の内容をどのように(おそらく誤って)想定していたのか、PSD2は実際に何を定めているのかを明らかにする必要があります。
レポートは上記KRQの3つの質問に対する答えを追及しています。

PSD2が劇的な変化をもたらすと言われる主な理由は、口座にアクセスできる(XS2A)APIの公開を義務づける条項が設けられたことにあります。これは決済バリューチェーンを分断し、新たな組織としてサードパーティープロバイダー(TPP)を導入することを目的にするものです。中でも、TPPは顧客に代わって銀行口座を通じて直接決済を実行できるようになります。大部分の消費者は手数料を負担しなくて済むようになるため、バンキングの環境が変わる可能性があります。例えば、加盟店が新たなTPPの1つになることを選択すれば、今日支払っている手数料の多くを回避できるでしょう。

「PSD2がもたらす変化は非常に大きなものであり、その詳細はまだ完全に特定されていないため、現時点でわかっていることは氷山の一角にすぎず、欧州以外の地域の銀行や企業も細心の注意を払う必要があるでしょう。 XS2Aを利用する上で特に大きな障害はありません。実際に、欧州以外の銀行や企業もTPPになれることから、自社のERPシステムを通じて欧州の銀行口座から決済を管理・執行し、リアルタイムで残高情報を得られるようになるでしょう」とセレント銀行プラクティスのシニア・アナリストであるガレス・ロッジは述べています。