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岐路に立つグローバルカストディ市場

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2012/07/31

Abstract


証券サービスの価値連鎖におけるカストディアンの地位は、他のプレーヤーから脅かされつつあります。つい最近まで、カストディアンは中央証券預託機関(CSD)やプライムブローカーと良好な共生関係を維持してきました。しかし、カストディアンとCSDがともに市場の進化に伴ってビジネスモデルの見直しを迫られるなか、こうした均衡状態は崩れつつあります。

主要カストディアンはここ20年間に進化を遂げ、証券市場で重要な役割を担うようになりました。これらは巨大な規模を誇り、世界市場における預かり資産残高は数兆ドルに達しています。しかし、最近の動きをみると、カストディアンとその業務は厳しい審査の対象になっています。顧客と規制当局はいずれもカストディアンに高い透明性と説明責任を求めるようになり、その業務にかかる圧力は増しつつあります。また、規制強化の動きも市場に影響を及ぼすとみられます。こうした状況下で、カストディアンのビジネスチャンスと潜在的な収入源は減少が予想される一方、コンプライアンス関連費用は増え続けています。セレントの最新レポート「岐路に立つグローバルカストディ市場」は、同市場の最新動向を取り上げ、金融危機の余波が残る中での今後の進化の見通しを予測しています。

グローバルカストディ市場の集中度をみると、上位3社の合計シェアが67%を占め、上位10社を合わせたシェアは91%に及んでいます。集中度は10年前からほぼ変わっていないものの、市場再編や金融危機の影響で市場に参入しているプレーヤーの数は減少傾向にあり、選択肢は狭まっています。

「グローバルカストディアンは、現在の厳しい経済環境下で自らの価値提案を見直す必要に迫られています。限られた顧客資産を獲得するための要件に加え、カストディアンにサブカストディアンの業務監視強化を求める声が強まるなど、今後は一段のコスト増が見込まれます」とセレント証券グループのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。

レポートでは、証券市場の価値連鎖においてカストディアンが現在果たしている役割を分析し、また、市場の集中度や世界の主要カストディアンの最近の業績について解説しています。さらに、業界の主な動向を分析した上で、カストディアンの潜在的なビジネスチャンスとしてアウトソーシングが再浮上している現状を取り上げています。最後に、説明責任と透明性に関する要求の高まりがおよぼす影響について分析しています。