グローサーと金融サービス: 北米 および英国における概要
Abstract
(このレポートは2001年10月15日に"Retail Grocers in Financial Services: North America & UK Overview"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2002年2月4日に発行しました。)
セレントによると、グローサー (食料雑貨商) との提携に関心を持つ銀行間の競争とダイレクト チャンネルによってグローサーが多大な恩恵を受けることになり、さらにこ の傾向はますます拡大していくだろうという予測が報告されています。同社では、大手グローサーは国法銀行や国際的な銀行との提携を新しく結び始めると同時 に、現在主流である地方銀行や地方の金融機関との提携を縮小していくだろうととも予測しています。
セレント・コミューニケーションズ の最近のレポート『金融サービスにおけるリテール店舗』では、北アメリカおよび英国におけるスーパーマーケット バンキングのトップ戦略について詳細な事情が報告されています。このレポートでは、北アメリカおよび英国のグローサーの金融サービスにおける動向が報告されており、さらにダイレクト チャンネルがスーパーマーケット バンキングにおいていかに新しい戦略となったかが調査されています。
法令の違いから、北アメリカと英国のグローサーはまったく異なる方法で金融サービスとの提携を図ってきました。英国ではグローサーは金融機関の株式を保有し、北アメリカ (主に米国) では自店の敷地を銀行に貸し出して支店を設けるという方法をとってきました。しかし、このダイレクト チャンネルと呼ばれる新しい戦略では、米国のグローサーは法的制約にも制限されず、金融サービス業界においてより幅広く活動を展開することができるようになります。スーパーマーケットがこのように大手銀行との提携を望む傾向の中で、米国の地方銀行は現行の店舗契約がダイレクト チャンネルによって衰退の一路をたどる可能性を危惧しています。このレポートの著者グエン・べザー (Gwenn Bézard) 氏は「北アメリカでは英国と同様に、グローサーたちは銀行の勢力拡大計画のためのトロイの馬となっている」とコメントしています。
セレントは、銀行の支店とブランドがグローサーのボリューム購買力を追い詰めている一方で、これから 3 ~ 5 年の間にスーパーマーケットとの提携を望む銀行間の競争によってグローサーは多大な恩恵を受けるだろうと予測しています。「ここ数年間のインターネットの勢いに隠れて食料雑貨小売業界の変化が浮き彫りにならなかった。グローサーたちはブランドという強力な武器を持つ巨大でグローバルな存在を取り込んだ。彼らは、食料品の売買による売上利益率に対して高まる圧力に抵抗するために、金融サービス業界への進出を余儀なくされた。」と考えています。現時点では金融サービス業界におけるグローサーの影響はまだ大きいものではありませんが、彼らの強力なブランド、販売慣習、そして金融ビジネスの商品化によって、彼らが金融サービス業界に必ず現在よりも多くの影響を与えることを同社では予測しています。